鹿児島県指宿市 司法書士法人 なのはな法務事務所


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所有権の登記がない土地の登記記録の表題部の所有者欄に氏名のみが記載
されている場合の所有権の保存の登記の可否について


  標題のタイトルの付された平成30年7月24日付法務省民事第二課長回答(登記研究850号111頁以下)は、次のとおりの回答があります。重要な点を含みますので、 以下に全文掲載いたします。

(質疑)所有権の登記がない土地の登記記録の表題部には、所有者の氏名又は名称及び住所等が記載され、その表題部所有者は、自己名義の所有権の保存の 登記を申請することができるところ、当該登記を申請する場合には、登記名義人となる者の住所を証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した 情報(以下「住所を証する情報」という。)を提供すべきものとされています。

  登記簿と土地台帳・家屋台帳の一元化作業による旧土地台帳から移記され、その登記記録の表題部の所有者欄に氏名のみが記録されている土地 (地目:原野。以下「本件土地」という。)について、表題部所有者に不在者財産管理人が選任され、当該不在者財産管理人と河川工事の起業者(国)との 間で売買契約が成立した場合において、当該起業者から当該表題部所有者を登記名義人とする所有権の保存の登記の嘱託情報(所有権の登記名義人となる者 の住所の記載はない。)と所有権の移転の登記の嘱託情報とを、その登記の前後を明らかにして同時に提供するとともに、その代位原因を証する情報の一部 として、不在者財産管理人の選任の審判書(本件土地の表題部所有者の氏名と不在者の氏名とが同一であるものに限る。)及び当該不在者財産管理人の権限 外行為許可の審判書(物件目録に本件土地が記載されているものに限る。)が提供されたときは、所有権の保存の登記の嘱託情報に所有権の登記名義人の住 所を証する情報の提供がなくとも、便宜、当該嘱託に基づく登記をすることができると考えますが、いささか疑義がありますので照会します。

  また、本嘱託に基づく所有権の保存の登記について、提供された審判書における不在者の最後の住所が明確になっていないときは、不動産登記 法59条第4号の規定にかかわらず、所有権の登記名義人の住所を登記することを要しないものと考えますが、併せて照会します。

(回答)本月3日付新潟不第120号をもって照会のありました標記の件については、いずれも貴見のとおり取り扱われて差支えありません。


代位申請の場合
  今般、当事務所において、上記類似の案件がありましたので、管轄する鹿児島地方法務局に問い合わせをしましたところ、上記の通達について は、嘱託による場合だけでなく、申請の場合にも適用となる旨の回答を得ました。
  そこで、早速に、第1申請として、代位申請の方法による住所のない不在者名義の所有権保存登記、第2申請として、民間起業者への売買に基づく 不在者から民間起業者への所有権移転登記を申請し、滞りなく完了をすることができました。
  なお、第1申請につき、代位原因証明情報として、 ア)不在者財産管理人の選任審判書、イ)権限外行為許可書、ウ)売買契約書を提供しました。
  従前は、住所のない第1申請をすることが許されないため、便宜、民間企業者が民事訴訟判決を得て、不動産登記法74条1項2号に基づき所有 権保存登記をするのが通常でありましたが、この通達のおかげで、少しだけ手続きが簡略化されました。
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